技術コラム

結晶性樹脂とは?

2025.11.07

結晶性樹脂とは、高分子鎖が規則正しく配列し「結晶構造」を持つ熱可塑性樹脂のことです。融点(Tm)が明確に存在し、耐薬品性や機械的強度に優れる一方、成形収縮が大きく寸法安定性に注意が必要です。

結晶性樹脂の特徴

  • 分子構造:分子鎖が規則正しく並び、結晶部分を形成。
  • 融点 (Tm):明確な融点を持ち、結晶が溶ける温度で流動化。
  • 透明性:結晶部分が光を乱反射するため、不透明になることが多い。
  • 収縮率:成形時の収縮が大きく(1〜3%)、寸法精度に影響。
  • 耐薬品性:結晶部分に薬品が入り込みにくく、耐薬品性が高い。
  • 機械的強度:剛性・耐摩耗性・耐熱性に優れる。

主な結晶性樹脂の例

樹脂名特徴用途
PE(ポリエチレン)柔軟性・耐薬品性・絶縁性フィルム、容器、パイプ
PP(ポリプロピレン)軽量・耐熱性・耐薬品性家電、自動車部品、食品容器
PA(ナイロン)高強度・耐摩耗性・耐油性ギヤ、コネクター、燃料系部品
POM(ポリアセタール)高剛性・耐摩耗性精密部品、ベアリング
PET/PBT(ポリエステル系)耐熱性・寸法安定性ボトル、電子部品
PPS(ポリフェニレンサルファイド)高耐熱・耐薬品性電気・電子部品
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)超耐熱・耐薬品性航空宇宙、医療機器

成形上の注意点

  • 金型温度:高めに設定し、結晶化を促進。
  • 冷却時間:非晶性樹脂より長めに必要。
  • 収縮設計:結晶度によって寸法変動が大きいため設計に注意。
  • 流動性:高温では良好だが、冷却すると急激に粘度が上昇するため高速充填が必要。

まとめ

結晶性樹脂は 強度・耐薬品性・耐熱性に優れるため、自動車部品や電気・電子分野で広く使われます。ただし、成形収縮が大きく寸法精度が難しいため、金型設計や成形条件の最適化が重要です。当社では、結晶性樹脂向け金型の製作実績が豊富です。収縮により発生しそうな不良を事前につぶし込むため、製品DRを実施させて頂きます。設計から組付け、仕上げまで一貫生産にて対応できますので、金型製作の際はぜひご相談ください。

この記事の執筆者

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  •                                

    野中啓志(成形技術課)

                                   

    富山県の金型メーカーで10年間、金型設計に従事。2024年に静岡県の成形メーカーの金型部門に転籍。多段式射出成形金型の開発や展開に取り組んでいます。