技術コラム

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂について

2025.11.07

熱可塑性樹脂は、加熱すると柔らかくなり、冷却すると再び固まるため再成形・リサイクルが可能。一方、熱硬化性樹脂は、加熱すると硬化し、一度硬化すると再加熱しても軟化せず、三次元網目構造を維持するため耐熱性・強度に優れるが再成形はできません。

熱可塑性樹脂(Thermoplastic Resins)

  • 性質
    • ガラス転移点や融点まで加熱すると柔らかくなり、冷却すると固化。
    • このプロセスを何度でも繰り返せる。
    • 分子構造は直鎖状または分岐状で、化学的な架橋結合はない。
  • メリット
    • 成形加工が容易(射出成形、押出成形など)。
    • 再加熱して再成形できるためリサイクル性が高い。
    • 柔軟性があり、複雑な形状にも対応可能。
  • デメリット
    • 高温に弱く、耐熱性は限定的。
    • 一部の薬品に弱い。
  • 代表例
    • ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(PA)など。

熱硬化性樹脂(Thermosetting Resins)

  • 性質
    • 成形時に加熱や化学反応で硬化し、三次元網目構造(架橋結合)を形成。
    • 一度硬化すると再加熱しても軟化せず、再成形不可。
    • 高温でも形状を維持しやすい。
  • メリット
    • 高い耐熱性・機械的強度。
    • 化学的安定性が高く、薬品や溶剤に強い。
    • 電気絶縁性に優れるものが多い。
  • デメリット
    • 再加工・リサイクルが難しい。
    • 成形に時間がかかる場合がある。
  • 代表例
    • フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂、ポリウレタン(PUR)、シリコーン樹脂など。

比較表

項目熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂
加熱時の挙動軟化・再成形可能一度硬化すると再成形不可
分子構造直鎖・分岐構造三次元網目構造(架橋結合)
耐熱性△(低〜中程度)◎(高い)
リサイクル性◎(容易)×(困難)
主な用途包装材、家電、自動車部品電気絶縁材、接着剤、耐熱部品

まとめ

  • 熱可塑性樹脂は加工性・リサイクル性に優れ、日用品から工業部品まで幅広く利用。
  • 熱硬化性樹脂は耐熱性・強度・化学安定性に優れ、電気絶縁材や高温環境下の部品に適用。

設計や用途選定では「加工性を重視するなら熱可塑性」「耐熱・耐薬品性を重視するなら熱硬化性」と考えるのが基本です。

この記事の執筆者

  • この記事の執筆者
  •                                

    野中啓志(成形技術課)

                                   

    富山県の金型メーカーで10年間、金型設計に従事。2024年に静岡県の成形メーカーの金型部門に転籍。多段式射出成形金型の開発や展開に取り組んでいます。